シンクロナイズドチワワの奇跡
私がナゾの高熱で点滴を打った数日後。
回復の兆しを見せた私と入れ替わりに、チワワの丸ちゃんが体調を崩した。
30分おきにゲロを吐き、ぐったりとしてブルブル震え、
お腹もゴロゴロ鳴っている丸ちゃんを見て、
「これは私の病気が伝染ったのか?」と思い、
すぐさま行きつけの動物病院に連れて行った。
そこは、院長先生1人で経営しているこじんまりとした小さな動物病院。
待合室で待っていると、
「どうしました?」
と、自分も小動物みたいな顔をした可愛らしい院長先生がたずねてきた。
丸ちゃんの容態を説明する。
「どうぞこちらへ。」
と診察室に通された。
診察台の上で聴診器を当てられる丸ちゃん。
「便は出てますか?」
と聞かれ、
「出てないです。でも、お腹がゴロゴロいってます。」
と伝えると、
「もしかして、さっきゴロゴロ鳴ったのはこの子?」
と先生が言った。
私には聞こえなかったが、この”とっとこハム太郎"みたいな院長先生の耳には
何か聞こえたらしかったので、とりあえず話しを合わせる。
私 「たぶん、この子です。」
すると、
「ゴゴゴ・・・」
という音が、今度は私にも聞こえた。
先生 「ほら、また鳴った!」
私 「あ、ほんとだ。」
するとまた、
「ゴゴゴ・・・」
先生 「ほら、また!」
私 「あ、ほんとだ。」
こんな会話が2~3回繰り返された時、
「ん・・・?」
と、あることに気づいた。
その「ゴゴゴ」という音は、
丸ちゃんから聞こえてるのではなく、
私から聞こえてる音だったのである。
私の内臓は、たまに空気が入ったように「ゴゴゴ」という音を立てることがある。
よりによってこの絶妙なタイミングで鳴り出したのだ。
その「ゴゴゴ」という音が鳴るたびに、
丸ちゃんに耳を当てて
「また鳴った!」
と盛り上がっている"とっとこハム太郎"を見て、
今さら
「それ、私の音です。」
とは言えず・・・。
そして、
しゃべれば「ゴゴゴ」という音が激しくなるのがわかっていたので、
私はその瞬間から、俄然無口になった。
「原因はよくわからないけど、とりあえず水分とビタミンを補給してあげましょう。
今日明日はエサも水もあげないでください。」
と言いながら、ハム太郎は丸ちゃんに点滴の針をプスっと刺した。
何日か前にもこんな光景を見たなと思いつつ、
夜に丸ちゃんの様子を連絡すると先生に約束して家に帰った。
その日の夜、
丸ちゃんはすっかり元気になり、
私は動物病院に電話をした。
私 「あれから一度も吐いてないし、だいぶ元気になったみたいです。」
先生 「そうですか。
・・・で、お腹の音は?」
私 「え・・あ・・・、なんか、もう、大丈夫みたいです。」
"わたしの内臓"
と心の中で付け足して、ちょっぴり罪悪感にさいなまれつつ、電話を切った。
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